黏
黏
名詞
標準
文例 · 用例
髮が黏るやうになるとおつぎは其の粘土をこすりつけて、肌ぬぎになつた儘黄色く染まつた頭を井戸の側で洗ふのである。
— 長塚節 『土』 青空文庫
甘糟の痒きに堪へんことを僕は丁と洞察してをるのだ」「これは憚様です」 大島紬の紳士は黏着いたるやうに靠れたりし身を遽に起して、「風早、君と僕はね、今日は実際犠牲に供されてゐるのだよ。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
若し生れつき「ほくろ」のない婦人方は、人工的に是を模造してその顔面に黏置するのである。
— 堀口九萬一 『東西ほくろ考』 青空文庫
己の背は木の皮でこすられて、肌には樹脂が黏り附いた。
— BALTHASAR ALDRAMIN. KURZE LEBENSGESCHICHTE AUS DEM ALTEN VENEDIG. 『復讐』 青空文庫
」「下手な道中稼ぎなんぞするよりや、棒つ切の先へ黏をつけの、子供と一しよに賽銭箱のびた銭でもくすねてゐりや好い。
— 芥川龍之介 『鼠小僧次郎吉』 青空文庫
玄菟(郡名)とか樂浪(郡名)とか、蓋馬(縣名)とか黏蝉(縣名)とか、沃沮(種族名)とか肅愼(種族名)とか、甚しきは頓である。
— 桑原隲蔵 『支那人の文弱と保守』 青空文庫
しかるにあるものが、その木に朽ちたる穴があるから、この穴の中になにか動物が住んでいるのではあるまいかと思い、黏を塗り置きしところ、案のごとく、やがてみみずく二羽捕らわれたという話が、『東北新聞』にて報じてあった。
— 井上円了 『おばけの正体』 青空文庫