金竜
きんりゅう
名詞
標準
文例 · 用例
見え隠れにあとを跟けて、その夜金竜山の奥山で、滝さん餞別をしようと言って、お兼が無名指からすっと抜いて、滝太郎に与えたのが今も身を離さず、勇美子が顔を赤らめてまで迫ったのを、頑として肯かなかった指環なのである。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
もちろん、もうあたりは深夜のような静けさなので、ところへ、やがてのことにいんいんと、風もない初春の夜の川瀬に流れ伝わってきたものは、金竜山浅草寺の四ツの鐘です。
— 足のある幽霊 『右門捕物帖』 青空文庫
)やがて、天界から加勢に来た亢金竜がその鉄のごとき角をもって満身の力をこめ、外から金鐃を突通した。
— ―沙門悟浄の手記― 『悟浄歎異』 青空文庫
半ば臀部は溶けかかりながら、苦心|惨憺の末、ついに耳の中から金箍棒を取出して鋼鑚に変え、金竜の角の上に孔を穿ち、身を芥子粒に変じてその孔に潜み、金竜に角を引抜かせたのである。
— ―沙門悟浄の手記― 『悟浄歎異』 青空文庫
ただしエリスの『古英国稗史賦品彙』二版一巻六二頁に、古ブリトン王アーサーの父アサー陣中で竜ごとき尾ある彗星を見、術士より自分が王たるべき瑞兆と聞き、二の金竜を造らせ、一をウィンチェスターの伽藍に納め、今一を毎に軍中に携えた。
— 田原藤太竜宮入りの話 『十二支考』 青空文庫
その他支那で亢宿を亢金竜と呼ぶなど、星を竜蛇と見立てたが多い。
— 田原藤太竜宮入りの話 『十二支考』 青空文庫
『大清一統志』に、江南金竜池、深さ測られず、唐初その中から一馬出で、朝は郊坡を奔り騰り、夜は池中へ入る、尉遅敬徳これを捕えたと(巻八十)。
— 馬に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
大川の名が隅田川と変わり、向こうの岸は三囲社、こっちの岸は金竜山、その金竜山の一所に、川面へ突き出して造られた、一宇の宏大な屋敷があり、その屋敷の奥まった部屋で、しめやかに話している男女があった。
— 国枝史郎 『神秘昆虫館』 青空文庫