小売り
こうり
名詞
標準
文例 · 用例
死にかけた犬にも蚤やだにがついているように、飢えたる彼らの周囲にも、飢えた小売り商人が大福|餅や巴焼きなどを、これもほとんど時なしに売っているのであった。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
一方の腰かけのすみには、沖売ろう――船へ菓子や日用品を売り込みに来る小売り商人――の娘が、果物や駄菓子などのはいった箱を積み上げて、いつ開こうかと待っているのであった。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
よそから毎晩のようにこの置座に集まり来る者二、三人はあり、その一人は八幡宮神主の忰一人は吉次とて油の小売り小まめにかせぎ親もなく女房もない気楽者その他にもちょいちょい顔を出す者あれどまずこの二人を常連と見て可なるべし。
— 国木田独歩 『置土産』 青空文庫
そんな状態ではいくら総発売元と大きく出しても、何程の薬をこしらえてみても、……しかも、その薬にしたところで、そろそろ警戒しだした問屋からは原料がはいらず、「全国」どころか、店での小売りにも間に合いかねた。
— 織田作之助 『勧善懲悪』 青空文庫
これは言わば細胞組織の百貨店であって、後年のデパートメントストアの予想であり胚芽のようなものであったが、結局はやはり小売り商の集団的|蜂窩あるいは珊瑚礁のようなものであったから、今日のような対小売り商の問題は起こらなくても済んだであろう。
— 寺田寅彦 『銀座アルプス』 青空文庫
そうでないとすると小売り商の作戦計画にはこの点を考慮に入れなければなるまい。
— 寺田寅彦 『銀座アルプス』 青空文庫
いつもは美しく飾り立てた小売り店の表には、実に見すぼらしい明治時代の雨戸がしめてある。
— 寺田寅彦 『銀座アルプス』 青空文庫
一方出版社から本を出してもらう際は、取次店と呼ばれる本の卸をへて小売り書店に至る、大きな販売網をあてにできます。
— 富田倫生 『本の未来』 青空文庫