着たきり雀
きたきりすずめ
表現名詞
標準
owning nothing except the clothes on one's back
文例 · 用例
自暴のように陸湯を浴びた彼は、眼をぎょろりと光らせたまま板の間へ上って行って籠の中から着たきり雀の浴衣を振って引っ掛けると、蠅の浮いている河鹿の水磐を横眼で白眼みながら、ぶらりと明治湯の暖簾を潜り出た。
— 牧逸馬 『助五郎余罪』 青空文庫
オヌシが着たきり雀だてえことは、この小屋で誰知らぬ者もないわさ」 馬吉は舞台裏へノソノソと歩いて行って、道具の陰へひッくりかえった。
— 坂口安吾 『退歩主義者』 青空文庫
コチトラは着たきり雀だから、ビックリすらアね。
— 坂口安吾 『街はふるさと』 青空文庫
見てごらん、着たきり雀のぼろフロックを、これでもう三年ごし引きずって、外套も着てない始末じゃないか。
— ЧАЙКА 『かもめ』 青空文庫
細松の幹を思わせる、ひょろ高い筋骨、それに、着たきり雀の古|袷がはだけて、毎夜のやみを吸って生きる丹下左膳、さらぬだに地獄絵の青鬼そのままなところへ――左手に握った乾雲丸を鞘ぐるみふりあげるたびに空の右袖がぶきみな踊りをおどる。
— 乾雲坤竜の巻 『丹下左膳』 青空文庫
そのお礼に着たきり雀の南平に四五十両の入費をかけて祈祷所をもたせ、たくさん弟子を世話してやった。
— 勝夢酔 『安吾史譚』 青空文庫
毛布からジャケツまで、お前、ゴッソリ困ってる家にやっちまって、自分は着たきり雀のあのザマだ。
— 三好十郎 『炎の人――ゴッホ小伝――』 青空文庫
皆着たきり雀の正月よ。
— 一九四〇年(昭和十五年) 『獄中への手紙』 青空文庫
作例 · 標準
「着替えも持たずに旅行なんて、まさに着たきり雀の珍道中だね」
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震災の夜は、文字通り着たきり雀の状態で避難所へ駆け込むしかなかった。
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ミニマリストを通り越して、彼は年中同じ服を着回す着たきり雀のような生活を送っている。
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