脈所
みゃくどころ
名詞
標準
spot where the pulse may be taken
文例 · 用例
」 や、もうその咳で、小父さんのお医師さんの、膚触りの柔かい、冷りとした手で、脈所をぎゅうと握られたほど、悚然とするのに、たちまち鼻が尖り、眉が逆立ち、額の皺が、ぴりぴりと蠢いて眼が血走る。
— 泉鏡花 『茸の舞姫』 青空文庫
古藤はすき通るように白い手くびをしばらくなで回していたが、脈所に探りあてると急に驚いて目を見張った。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
葉子は両手の脈所を医員に取られながら、その香いを薄気味わるくかいだ。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
「それにしても、相手は女だというのに、その若い男がどうして素直に金を渡したのでしょうね」「それが又不思議なことには、その女が男をひき摺り倒すときに、なんでも頸筋のあたりの脈所を強く掴んだらしいので、男は痛くって口が利けない。
— 妖狐伝 『半七捕物帳』 青空文庫
このタテタテの花というのは紫色の小さな袋のような花で、その中にある蕊を取ってそれを掌の上に並べ置き、手の脈所のところをトントンと叩くとその小さな蕊が縦に立って掌にひっついて居るのが面白いので、子供の中にこの花を見つけるといつでもこういう遊びをして居たのである。
— 正岡子規 『病牀苦語』 青空文庫
ピタリと坐った薬草道人、吉宗の脈所を握ったが、「大丈夫でござる、お癒し致す」 警蹕の声!
— 国枝史郎 『任侠二刀流』 青空文庫
「それでは」と武見さんは、真面目な顔をしながら、「今一度脈を拝見しましょう」と、左右の脈所を、両手で握って、ストップウォッチを眺めながら、しばらく診ている。
— 中谷宇吉郎 『ジストマ退治の話』 青空文庫
国経には滋幹の外に三人の男子があって、尊卑分脈所載の順序に従えば、長男が滋幹、次男が世光、三男が忠幹、四男が保命となっている。
— 谷崎潤一郎 『少将滋幹の母』 青空文庫