添婦
添婦
名詞
標準
文例 · 用例
はっとして吉田がその女の顔を見ると、それはその病舎の患者の付添いに雇われている付添婦の一人で、勿論そんな付添婦の顔触れにも毎日のように変化はあったが、その女はその頃露悪的な冗談を言っては食堂へ集まって来る他の付添婦たちを牛耳っていた中婆さんなのだった。
— 梶井基次郎 『のんきな患者』 青空文庫
吉田はそれですっかりその婆さんに牛耳られてしまったのであるが、その女の自分の咳に敏感であったことや、そんな薬のことなどを思い合わせてみると、吉田はその女は付添婦という商売がらではあるが、きっとその女の近い肉親にその病気のものを持っていたのにちがいないということを想像することができるのであった。
— 梶井基次郎 『のんきな患者』 青空文庫
親切な若い附添婦が私の子供を、いたわり可愛がってくれるのがその頃の私の病苦の何よりの薬療であった。
— 鷹野つぎ 『窓』 青空文庫
歩行のまだ充分でなかった私は、附添婦に小脇を拘えられつつ、床頭台に彼岸桜のやや花びらを散らした花瓶の置かれた、新らしいベッドに近づいた。
— 鷹野つぎ 『窓』 青空文庫
「何を見ていらっしゃいます」 聖書を膝の上に置いているような暇な時に、附添婦が時折りたずねた。
— 鷹野つぎ 『窓』 青空文庫
「何かお読みいたしましょうか」 私はいつも南にばかり向けている重い頸筋を、附添婦の腰かけている反対側に向けた。
— 鷹野つぎ 『窓』 青空文庫
亡くなった坊やのおためにも」 附添婦の小谷さんは部厚い聖書の頁を繰り展げた。
— 鷹野つぎ 『窓』 青空文庫
既に附添われた最初のころから私は、かの女が模範附添婦として院長にも認められて居り、家族に病人ができれば小谷に頼もうと、云われるほどの信任があることも知っていた。
— 鷹野つぎ 『窓』 青空文庫