山牛蒡
やまごぼう
名詞
標準
文例 · 用例
山牛蒡の葉にて捲いたる煙草を、シャと横銜えに、ぱっぱっと煙を噴きながら、両腕を頭上に突張り、ト鋏を極込み、踞んで横這に、ずかりずかりと歩行き寄って、与十の潜見する向脛を、かっきと挟んで引く。
— 泉鏡花 『夜叉ヶ池』 青空文庫
此處へ筒袖の片手ゆつたりと懷に、左手に山牛蒡を提げて、頬被したる六十ばかりの親仁、ぶらりと來懸るに路を問ふことよろしくあり。
— 泉鏡太郎 『城の石垣』 青空文庫
水沢瀉、えご、夜這蔓、山牛蒡、つる草、蓬、蛇苺、あけびの蔓、がくもんじ(天王草)その他田の草取る時の邪魔ものは、私なぞの記憶しきれないほど有る。
— 島崎藤村 『千曲川のスケッチ』 青空文庫
蕨、山牛蒡、山獨活、春は一面に霞が棚引いて、鶯やカツコ鳥が好い聲をして啼いた。
— 田山花袋 『歸國』 青空文庫
山牛蒡、山|獨活、山人參、山|蕗、ことに自然薯が旨かつた。
— 田山花袋 『日光』 青空文庫
山牛蒡の煮たものもうまかつた。
— 牧野信一 『山を越えて』 青空文庫
台所の流しの下には、根笹や、山牛蒡のような蔓草がはびこっていて、敷居の根元は蟻の巣でぼろぼろに朽ちていた。
— 林芙美子 『清貧の書』 青空文庫
ところで、わたくしそう思いますの――こうして一生、信じ通しても、死んでしまえば急に何もかもなくなってしまって、ある小説家の書いたもので見ましたように、『ただ墓の上に山牛蒡が生えるばかり』であったら、まあどうでございましょう。
— 上 『カラマゾフの兄弟』 青空文庫