覆刻
ふっこく
名詞
標準
文例 · 用例
わたくしは此間の消息を明にするために、覆刻本の序跋を読んで見たくおもふ。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
後嘉永二年に至つて、幕府が躋寿館に命じてこれを覆刻した。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
阿部家の弘安本覆刻に後るること三年にして刊行せられたのである。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
且初版以後一度も覆刻されなかった故、今日では貴重な稀覯書として珍重されて、倫敦時価一千円以上である。
— 内田魯庵 『灰燼十万巻(丸善炎上の記)』 青空文庫
この秀光舎の前身は同益出版社といって、今から四十年前に小説復刻の元祖たる南|伝馬町の稗史出版社に続いて馬琴の『俊寛僧都島物語』や風来の『六々部集』を覆刻したので読書界に知られた印刷所であった。
— ――尾崎紅葉―― 『硯友社の勃興と道程』 青空文庫
唯支那には其の時に古い眞跡がなかつたから、眞跡を下ること一等だからと言ふので碑を學ぶことになり、唐碑は昔流行り過ぎて皆磨滅し、覆刻ばかりだからといふので、六朝碑を稽古すると云ふやうになつたのである。
— 内藤湖南 『北派の書論』 青空文庫
貸本屋といっても、場所柄で講談本などはほとんど無く、学生向の参考書か、文学物も古典の覆刻叢書か、新刊の詩集・小説類に限られていたが、私は一日二銭くらいの見料を払って、ほとんど毎日のようにとっ替え引っ替え借出しては読んだ。
— 楠山正雄 『神田界隈』 青空文庫
それよりももつと突き詰めたことをいへば、大学が古書を高閣に束ねるばかりで古書の覆刻を盛んにしなかつたのも宜敷くない。
— 芥川龍之介 『大正十二年九月一日の大震に際して』 青空文庫