擦り込む
すりこむ
動詞
標準
文例 · 用例
」 かの女の躍起となった瞳から、かの女の必死に掴んだ指から、千代重が今まで栖子からうけたことのない感覚が、薄荷を擦り込むような痛さと共に骨身に浸み込んだ。
— 岡本かの子 『唇草』 青空文庫
「かくてあらば」と女は危うき間に際どく擦り込む石火の楽みを、長えに続づけかしと念じて両頬に笑を滴らす。
— 夏目漱石 『薤露行』 青空文庫
案内を乞わないうちに、玄関の扉をあけて、支那服を着た老人が、引擦り込むように、私を屋内へ導いた。
— 松本泰 『日蔭の街』 青空文庫
こんな呑気な男でも、恋をする事はあると見え、時々|黒人上りの者を女房とも附かず引き擦り込む事がありますが、惚れたとなったら、彼のだらし無さは又一入で、女の歓心を買うためには一生懸命お太鼓を叩き、亭主らしい権威などは少しもありません。
— 谷崎潤一郎 『幇間』 青空文庫
または乾かした膿疱の粉末を鼻の穴に擦り込むか、吹き込む。
— History of Medicine 『医学の歴史』 青空文庫
まったくその土地では、猟師たちが彼らの面前でたくさんの紐を結んで靴をはいて見せたり、妙な輪差を頭にまきつけて見せたり、鳥もちを眼になすりこむ真似をして見せたりするようになった。
— ESSAIS DE MONTAIGNE 『モンテーニュ随想録』 青空文庫
参吉が洗った傷へ塩を擦りこむのを見ながら、繁次はおろおろとあやまった。
— 山本周五郎 『落葉の隣り』 青空文庫
一度だつて樹に塩を擦込むのに出会つたことがないといつて笑つたさうだ。
— 薄田泣菫 『独楽園』 青空文庫