心水
しんすい
名詞
標準
文例 · 用例
寂とした暮方、……空地の水溜を町の用心水にしてある掃溜の芥棄場に、枯れた柳の夕霜に、赤い鼻を、薄ぼんやりと、提灯のごとくぶら下げて立っていたのは、屋根から落ちたか、杢若どの。
— 泉鏡花 『茸の舞姫』 青空文庫
この井戸の水を「洗心水」という。
— 織田作之助 『大阪発見』 青空文庫
両側に軒の並んだ町ながら、この小北の向側だけ、一軒づもりポカリと抜けた、一町内の用心水の水溜で、石畳みは強勢でも、緑晶色の大溝になっている。
— 泉鏡花 『国貞えがく』 青空文庫
――ということでも知られようものなら、これまでの苦心水の泡となる)「さあ、梶子殿酒じゃ酒じゃ」「はいはい」 と梶子は笑いながらも、人形の側からやっと離れた。
— 国枝史郎 『猫の蚤とり武士』 青空文庫
ところで画家の魂なども商売人とか相場師の魂と雑居しているとやはり魂は住み心地が悪い、鯉が空気と住んでいるようなものだ、鯉は水と住まなくてはならない、即ち魚心水心というて心と心と相通じる事がなくてはやり切れない、魂はおなじ魂を呼ぶからだろう。
— 小出楢重 『楢重雑筆』 青空文庫
咄嗟の間に平次は、物置の側にある井戸に飛付くと、幸いそこにあった用心水を一杯、燃え上がったばかりの焔の上へ遠慮会釈もなく、ドッと浴びせたのです。
— 笑い茸 『銭形平次捕物控』 青空文庫
咄嗟の間に平次は、物置の側にある井戸に飛突くと、幸ひ其處にあつた用心水を一杯、燃え上がつたばかりの焔の上へ遠慮會釋もなく、ドツと浴びせたのです。
— 笑ひ茸 『錢形平次捕物控』 青空文庫
と見ると、立ち昇る紫煙、 四方は夕暮のようにたそがれて、室の中を籠むる異薫に、丈太郎は暫らく夢心地に俯向きましたが、やがて身心水の如く澄み渡って、今まで感じた事も無い、不思議な衝動が、全身の脈管を流れ去ります。
— 第五夜 悪魔の反魂香 『新奇談クラブ』 青空文庫