自然児
しぜんじ
名詞
標準
文例 · 用例
自分たちの少年時代にはもう文明の光にけおされてこのシバテンどもは人里から姿を隠してしまっていたが、しかし小学校生徒の仲間にはどこかこのシバテンの風格を備えた自然児の悪太郎はたくさんにいて、校庭や道ばたの草原などでよく相撲をとっていた。
— 寺田寅彦 『相撲』 青空文庫
薄暗い湿っぽい朽葉の匂のする茂みの奥に大きな虎杖を見付けて折取るときの喜びは都会の児等の夢にも知らない、田園の自然児にのみ許された幸福であろう。
— 寺田寅彦 『郷土的味覚』 青空文庫
われわれ当時の自然児にはそれが汚いともなんとも思われなかった。
— 寺田寅彦 『郷土的味覚』 青空文庫
あの可憐な自然児ともちゃんも、人妻なんていう人間じみたものに……ああ、俺はもうだめだ。
— 有島武郎 『ドモ又の死』 青空文庫
今でも君は全くの自然児である。
— 愛の詩集のはじめに 『愛の詩集』 青空文庫
その自然児が一面に於て熱烈な文明の思慕者であり、秩序ある諸徳、中にも貴族的品格と正しい礼節とを憧憬し、之に己れを則らんとする無邪と、謹慎と、謙譲とは、人をして如何なる時も彼を愛せしめ、微笑せしめずにはおかぬ。
— 愛の詩集のはじめに 『愛の詩集』 青空文庫
君の本然の魂に於て然るが如く、全く言葉の上にも君は自然児であつた、野生であつた。
— 愛の詩集のはじめに 『愛の詩集』 青空文庫
しかし、蛮煙瘴雨に馴れたこの自然児も、わずか十ヤードほどゆくのに二、三時間も死闘を続けるのでは、もうへとへとに疲れてしまった。
— 有尾人 『人外魔境』 青空文庫