撓い
しない
名詞
標準
文例 · 用例
触ると撓いそうな痩せぎすな、すらりとした、若い女で。
— 泉鏡花 『眉かくしの霊』 青空文庫
その枝のさき近々と窓の前にさしいでたれば、広岡のかの君は二階にのぼりて、此方の欄に掴まりたるわが顔を見て微笑みたまいつつ、腕さしのべて、葉さきをつまみ、撓いたる枝を引寄せて、折鶴、木※、雛の形に切りたるなど、色ある紙あまた引結いてはソト放したまう。
— 泉鏡花 『照葉狂言』 青空文庫
小枝は葉摺れしてさらさらと此方に撓いて来つ。
— 泉鏡花 『照葉狂言』 青空文庫
しかし撓いぐあいはたしかにこのほうが柔らかで、ぎごちなくないように思われる。
— 寺田寅彦 『錯覚数題』 青空文庫
それでも敷居をまたぐと土間のすみの竈には火が暖かい光を放って水飴のようにやわらかく撓いながら燃えている。
— 有島武郎 『生まれいずる悩み』 青空文庫
その時薄は虫の重みで撓いそうに見えた。
— 夏目漱石 『思い出す事など』 青空文庫
それでいて硬くはなく、撓いそうなほどにも軟らかく見えた。
— 国枝史郎 『血曼陀羅紙帳武士』 青空文庫
撓いつつ甘美な苦痛を感じて、折れないという自覚のよろこび。
— 一九三六年(昭和十一年) 『獄中への手紙』 青空文庫