罹
罹
名詞
標準
文例 · 用例
左肺が肺癆に罹つて大部分腐蝕してゐるのは誰れも認めてゐたが、一週間程前から右肺の中葉以上に突然起つた聽診的變調と、發熱と、腹膜肋膜の炎症とを綜合して考へて見ると粟粒結核の勃發に相違ないと堅く信じたのだ。
— 有島武郎 『實驗室』 青空文庫
肺癆に罹つてゐた左胸は右胸に比べると格段に小さくなつてひしやげてゐた。
— 有島武郎 『實驗室』 青空文庫
――夫婦喧嘩は珍しくない、妻君は酷いヒステリーに罹つてゐる、娘だつて午後五時以後は何んな理由があらうと外出させて貰へないさうだと、校長の家の近所にゐる生徒が聞いて来てゐた。
— 中原中也 『校長』 青空文庫
疾病に罹って弱い人は斃れて強い人は存るのであります。
— 信仰と樹木とをもって国を救いし話 『デンマルク国の話』 青空文庫
不治の病に罹りし時の失望は二個なり、すなわち我再び快復する能わざるべし、我は今は癈人なれば世に用なきものとなれりと。
— 内村鑑三 『基督信徒のなぐさめ』 青空文庫
余自身について言えば、病に罹りし時の如きこれを神より直接に来りしものとは思わず他の原因が明かに認めらるれど、後に回顧すればその中に深き聖意を認めざるを得ないのである。
— 内村鑑三 『ヨブ記講演』 青空文庫
京橋のアパートで罹災なさって、それから今の御住所にお移りになった事を直治から聞きまして、よっぽど東京の郊外のそのお宅にお伺いしようかと思ったのですが、お母さまがこないだからまた少しお加減が悪く、お母さまをほっといて上京する事は、どうしても出来ませぬので、それで、お手紙で申し上げる事に致しました。
— 太宰治 『斜陽』 青空文庫
悪運が強くて罹災も、しやがらねえ。
— 太宰治 『斜陽』 青空文庫