片々
へんぺん
副詞-と形容詞-たる
標準
in pieces
文例 · 用例
二勺より路は黒鉄を鍛へたる如く、天の一方より急斜して、爛沙、焦石、截々、風の噪ぐ音して人と伴ひ落下す、偶ま雲を破りて額上|微かに見るところの宝永山の赭土より、冷乳の缸を傾けたる如く、大霧を揺るよと見る間に、急瀬上下に乱流する如くなりて、中霄に溢れ、片々|団々、がり、故郷を望んで帰り去なむを私語く。
— ――明治三十六年八月七日御殿場口にて観察―― 『霧の不二、月の不二』 青空文庫
マッチのペーパーや広告の散らし紙や、女の子のおもちゃにするおすべ紙や、あらゆるそう云った色刷のどれかを想い出させるような片々が見出されて来た。
— 寺田寅彦 『浅草紙』 青空文庫
「餘瀝 近事片々」(「正直ノオト」「春晝」「市井喧爭」「酒ぎらひ」「困惑の辯」「知らない人」「心の王者」「鬱屈禍」) 以上の五篇の創作にて、私のこれまで歩いて來た經過の、だいたいは、推察していただける事と思ふ。
— 太宰治 『『思ひ出』序』 青空文庫
中心になっているのはやはりベコニアで、その周囲には緑色の紗の片々と思うようなアスパラガスの葉が四方に広がり、その下から燃えるようなゼラニウムがのぞき、低い所にはアルヘイ糖のように蟹シャボの花がいくつか鉢の縁にたれ下がっていた。
— 寺田寅彦 『病室の花』 青空文庫
雲飛の子は許可を得て其|片々を一々拾つて家に持歸り、再び亡父の墓に收めたといふことである。
— 國木田獨歩 『石清虚』 青空文庫
それをね、けだるそうに、ふらふらとふって、片々の人指ゆびで、こうね、左の耳を教えるでしょう。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫
結び目の押立って、威勢の可いのが、弁慶|蟹の、濡色あかき鋏に似たのに、またその左の腕|片々、へし曲って脇腹へ、ぱツと開け、ぐいと握る、指と掌は動くけれども、肱は附着いてちっとも伸びず。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
そうした片々たる小論で、言語の定義から説明して行くような行き方は、始めから不可能でもあり、かつ論文として退屈である。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
作例 · 標準
爆発の衝撃で、建物の窓ガラスが片々となって周囲に飛び散った。
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彼が大切にしていた花瓶は床に落ち、片々に砕け散ってしまった。
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嵐が去った後の海岸には、片々にちぎれた海草や流木が打ち上げられていた。
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標準
fragmentary (e.g. knowledge)
作例 · 標準
古い日記から得られた片々たる情報をつなぎ合わせて、当時の生活を推測するしかない。
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彼は専門外の分野については、片々たる知識しか持ち合わせていなかった。
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遺跡から発掘された片々たる土器の破片が、古代人の文化を知る重要な手がかりとなる。
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標準
insignificant
作例 · 標準
片々たる小事にかまけていては、この巨大なプロジェクトを成功させることはできない。
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彼は自らの業績を「片々たるものに過ぎない」と謙遜して笑った。
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日々の生活の中で起きる片々たる出来事の中にこそ、本当の幸せが隠れているのかもしれない。
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