敗余
はいよ
名詞-の形容詞
標準
after a losing battle
文例 · 用例
この時に当りて徳川家の一類に三河武士の旧風あらんには、伏見の敗余江戸に帰るもさらに佐幕の諸藩に令して再挙を謀り、再挙三拳ついに成らざれば退て江戸城を守り、たとい一日にても家の運命を長くしてなお万一を僥倖し、いよいよ策|竭るに至りて城を枕に討死するのみ。
— 瘠我慢の説 『瘠我慢の説』 青空文庫
さりながら千々岩はいかなる場合にも全くわれを忘れおわる男にあらざれば、たちまちにして敗余の兵を収めつ。
— 徳冨蘆花 『不如帰 小説』 青空文庫
その頃、雜誌「改造」の誌上に於て、彼の連載してゐる感想「文藝的な、餘りに文藝的な」を讀むに及んで、この感はいよいよ深くなつて來た。
— 萩原朔太郎 『芥川龍之介の死』 青空文庫
ながく躊躇をすればするほどこれはいよいよ薄気味わるいことになりそうだな、とそう直覚したので、私は自分にもなんのことやら意味の分らぬ微笑を無理して浮べながら、その男の坐っている縁台の端に腰をおろした。
— 太宰治 『ダス・ゲマイネ』 青空文庫
暑中休暇がすんであたふたと上京したら、馬場の海賊熱はいよいよあがっていて、やがて私にもそのまま感染し、ふたり寄ると触ると Le Pirate についての、はなやかな空想を、いやいや、具体的なプランについて語り合ったのである。
— 太宰治 『ダス・ゲマイネ』 青空文庫
ましては「この山は防風上はかの山より一層重大な役目をなす」なぞといふのはいよいよ以て生活である。
— 中原中也 『芸術論覚え書』 青空文庫
不知不識其方へと路次を這入ると道はいよいよ狭くなって井戸が道をさえぎっている。
— 寺田寅彦 『根岸庵を訪う記』 青空文庫
明日はいよいよ鷹が貰えると思ってさんざんに待ちかねて、やっとその日になってみると鷹は今ちょうどトヤに入っているからもう二、三日待ってくれというのである。
— 寺田寅彦 『鷹を貰い損なった話』 青空文庫