隠徳
いんとく
名詞
標準
文例 · 用例
が、その事よりも長吉の人相が、越前が頭の中に思い浮べた隠徳の相の一つに、あまりにもピッタリしているのである。
— 菊池寛 『奉行と人相学』 青空文庫
「顔色ハ白黒ヲ問ハズ眼中涼シクシテ、憂色ヲフクミ左頬ニヱクボアリ、アゴヤヤ長シ」 隠徳の相として挙げられているのは、三項ある。
— 菊池寛 『奉行と人相学』 青空文庫
が、隠徳の相と盗心の相とは、両立するものと見え、木鼠長吉は、改心しなかった。
— 菊池寛 『奉行と人相学』 青空文庫
へえ、へえ」「うむ」 越前は、じっと長吉の顔を見ていたが、彼の顔の隠徳の相は、いよいよハッキリと浮び上っているのである。
— 菊池寛 『奉行と人相学』 青空文庫
小酒井さんはこういう隠徳を施していた人でした。
— 国枝史郎 『小酒井さんのことども』 青空文庫
――昔この街道に隠徳のある乞食があって、往来の旅人に下頭して得た生涯の稼ぎ銭をつみ、その死する時に、この小仏に旅人の安息場となる共同小屋を建ててくれと遺言して死んだその遺物だそうであります。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫
けれど今日の地方文化問題は、すでに銃後の國策問題として重要なものであるから、それを私行的に思惟して、隱徳の美風となし、「人知れず」を獨り尊んでゐるとしたら大きな錯覺だと思ふ。
— 吉川英治 『折々の記』 青空文庫