振蕩
しんとう
名詞
標準
文例 · 用例
平生聞ゆるところの都会的音響はほとんど耳に入らないで、うかとしていれば聞き取ることのできない、物の底深くに、力強い騒ぎを聞くような、人を不安に引き入れねばやまないような、深酷な騒ぎがそこら一帯の空気を振蕩して起った。
— 伊藤左千夫 『水害雑録』 青空文庫
平生聞ゆるところの都會的音響は殆ど耳に入らないで、浮かとして居れば聞取ることの出來ない、物の底深くに、力強い騷ぎを聞く樣な、人を不安に引入れねば止まない樣な、深酷な騷ぎがそこら一帶の空氣を振蕩して起つた。
— 伊藤左千夫 『水害雜録』 青空文庫
彼に取つては果敢ない生活の振蕩にすぎなかつた。
— 徳田秋聲 『老苦』 青空文庫
高く揚つたりまた低く沈んだり、振蕩するやうな時があつたり、萎縮して了ふやうな時が来たりして、もはや火もなくなつた、もはや全く灰燼になつた、さう思つてゐた心の場所から、忽ち山風にあほり立てられるやうに、すさまじく燃え出して来る火の鮮かさを私は何とも言はれない心持で眺めた。
— 田山録弥 『作者の言葉』 青空文庫