椶櫚
椶櫚
名詞
標準
文例 · 用例
池のまわりは岩組みになって、やせた巻柏、椶櫚竹などが少しあるばかり、そしてすみの平たい岩の上に大きな竜舌蘭の鉢が乗っている。
— 寺田寅彦 『竜舌蘭』 青空文庫
戸の外で椶櫚の葉がかさかさと鳴っている。
— 寺田寅彦 『追憶の冬夜』 青空文庫
声をしるべに、黄金の穹窿おほひたる、『キオスク』(四阿屋)の戸口に立寄れば、周囲に茂れる椶櫚の葉に、瓦斯燈の光支へられたるが、濃き五色にて画きし、窓硝子を洩りてさしこみ、薄暗くあやしげなる影をなしたる裡に、一人の女の逃げむとすまふを、ひかへたるは王なり。
— 森鴎外 『うたかたの記』 青空文庫
しかしこれはつい昨今急激な軟化をして、着物の袖を長くし、袴の裾を長くし、天を指していた椶櫚のような髪の毛に香油を塗っていたのであった。
— 森鴎外 『ヰタ・セクスアリス』 青空文庫
長い竹の柄のついた椶櫚箒を使ふことも、私には初めての経験であつた。
— 加能作次郎 『世の中へ』 青空文庫
その箒は、椶櫚の穂先を一寸ばかりだけ出して他の部分は更紗の袋を被せてあつた。
— 加能作次郎 『世の中へ』 青空文庫
これより始終谷を下り、日没|椶櫚生ふるエニンに到り、独逸人のホテルに投ず。
— エルサレムよりナザレへ 『馬上三日の記』 青空文庫
鬘は大森鬘と云つて、椶櫚で拵へたやつ、それも大勢でするのではない、一人でやるのですから、顏を半分づつ男と女にして置いて、向きを換へてやる、といつたやうなものだつたのです。
— 三田村鳶魚 『物貰ひの話』 青空文庫