空々
くうくう
形容動詞
標準
文例 · 用例
皆は空々しく白ばっくれて、故意に自分を無視している。
— 萩原朔太郎 『ウォーソン夫人の黒猫』 青空文庫
空々寂々の境で、山という山の気分が、富士山に向いて、集中して来る、谷から幾筋とない雲が、藍の腐ったような塊になって、立ち昇る、富士山はこの雲と重なって、心もち西へ西へと延びて来るようだ、蝕った雲の淵の深さが、何十尺かの穴となって、口が明く。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
なお又、年齢、戦争、歴史観の動揺、怠惰への嫌悪、文学への謙虚、神は在る、などといろいろ挙げる事も出来るであろうが、人の転機の説明は、どうも何だか空々しい。
— 太宰治 『東京八景』 青空文庫
「それじゃ、失敬」 空々漠々たるものでした。
— 太宰治 『トカトントン』 青空文庫
所謂「思想家」たちの書く「私はなぜ何々主義者になったか」などという思想発展の回想録或いは宣言書を読んでも、私には空々しくてかなわない。
— 太宰治 『苦悩の年鑑』 青空文庫
新聞は今朝出る前に讀み盡して了つたし、本を讀む元氣もなし、眠くもなし、喋舌る對手もなし、あくびも出ないし、さて斯うなると空々然、漠々然何時か義母の氣が自分に乘り移つて血の流動が次第々々にのろくなつて行くやうな氣がした。
— 国木田独歩 『湯ヶ原ゆき』 青空文庫
空々寂々心中なんらの思うこともない体。
— 国木田独歩 『二老人』 青空文庫
この姿のおかげで老人は空々寂々の境にいつまでもいるわけにゆかなくなった。
— 国木田独歩 『二老人』 青空文庫