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遣る瀬

やるせ
名詞
1
標準
文例 · 用例
もっともわたくしとても、年齢からいってそろ/\人恋しい時代で、心の中にうずく痛痒い情緒につれ、学課の暇には歎きの面持で花畑をさまよったり、遣る瀬ない肩の落し方をして果樹園を縫い歩いたりしないことはありません。
岡本かの子 生々流転 青空文庫
父のそのときの軽い苦笑には、相似るものをなつかしむと同時に嫌厭する遣る瀬ない気持が陰になって唇を掠めたのを覚えております。
岡本かの子 生々流転 青空文庫
これを聴いていると、遣る瀬ないあまりに却って思わず異常な力を湧かして来る悲絶の韻がありました。
岡本かの子 生々流転 青空文庫
この子の巴里を迎い入れる天稟も私の好尚の第一意義に合致するのはうれしくも遣る瀬ないことだった。
岡本かの子 オペラの辻 青空文庫
その音は、あらゆる人の世の言葉にも増して、遣る瀬ない悲しみを現わしたものである。
寺田寅彦 秋の歌 青空文庫
好色なお心を遣る瀬ないものにして見せようと源氏が計ったことである。
源氏物語 青空文庫
大将は子供をいっしょに車へ乗せて月夜の道を帰って行ったが、いつまでも第二回のおりの箏の音が耳についていて、遣る瀬なく恋しかった。
若菜(下) 源氏物語 青空文庫
どんなにまた煩悶をしておいでになる夜であろうなどと考えると苦しくなって、こんな遣る瀬ない苦しみばかりをせねばならぬ恋というものをなぜおもしろいことに人は思うのであろうと、懲りてしまいそうな気もした。
夕霧二 源氏物語 青空文庫