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息衝く

いきづく
動詞
1
標準
文例 · 用例
中には、此方が一息衝くと、「恋に焦れて悶ふるやうな……」などゝひやかしながら行き過ぎて行く者もあつた。
牧野信一 歌へる日まで 青空文庫
樽は宙で一息衝くと、塀外から三叉の鉤をつけた長竿が現れ、おもむろに力をゆるめる綱といつしよに、見る間に、向方の月あかりの奈落に影を没した。
牧野信一 酒盗人 青空文庫
達者な時ならば鬼柳の宿場で一息衝くと、手綱を引き絞めて一気に鼬谷へと降り、羅漢ノ森を寄切り、仁王門から川縁を伝つて音無宿までの三里の堤を口笛を吹いて飛ばしたのだが、あれとこれとを比ぶればまことに兎と亀ほどの相違ではないか。
牧野信一 剥製 青空文庫
「気衝かし」は、息衝くような状態にあること、溜息を衝かせるようにあるというので、いい語だとおもう。
斎藤茂吉 万葉秀歌 青空文庫
ただ、深々と呼吸づく三|更の冷気の底に、 声のない気合い、張りきった殺剣の感がどこからともなくただよって、忠相は、満を持して対峙している光景を思いやると、われ知らず口調が鋭かった。
乾雲坤竜の巻 丹下左膳 青空文庫
と肩で呼吸づく老婆おさよ、人眼を偸んでこの小屋のかげに何を掘り出そうとしているのだろう……?
乾雲坤竜の巻 丹下左膳 青空文庫
炭町、具足町の家々の庇の朱いろの矢のように陽線が躍り染めて、冬の朝靄のなかに白く呼吸づく江戸の騒音が、聞こえ出していた。
宙に浮く屍骸 釘抜藤吉捕物覚書 青空文庫
容態のおもわしくない妻は、もう長い間の病床生活の慣わしから、澄みきった世界のなかに呼吸づくことも身につけているようだった。
原民喜 美しき死の岸に 青空文庫
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