沈んだ心
しずんだこころ
表現名詞
標準
low spirits
文例 · 用例
たとへ遠くに離れてゐても、心さへ解し合つて居れば、決して寂しくはない、その親しい友を思ひ出せば一層元気が甦つて、かうしてゐることに却つて力強い幸福を感ずる――光子さんはさう思ふと、今迄の沈んだ心が急に明るく/\輝きました。
— 牧野信一 『蛍』 青空文庫
私は先刻この野にかゝつてからずつと續いて來てゐる物靜かな沈んだ心の何とはなしに波だつのを覺えながら、暫くその小さな道標の木を見て立つてゐたが、K―君が早や四五間も澤渡道の方へ歩いてゐるのを見ると、其の儘に同君のあとを追うた。
— 若山牧水 『みなかみ紀行』 青空文庫
私は先刻この野にかかってからずっと続いて来ている物静かな沈んだ心の何とはなしに波だつのを覚えながら、暫くその小さな道標の木を見て立っていたが、K―君が早や四五間も沢渡道の方へ歩いているのを見ると、其儘に同君のあとを追うた。
— 若山牧水 『みなかみ紀行』 青空文庫
障子の縁に立てた懐鏡の蓋の赤い布がかうした沈んだ心持を色づけるたつた一つの赤い色のやうに小淋しい。
— 鈴木三重吉 『桑の実』 青空文庫
」 そんなある決定的な氣持ちの中に突き落されると彼は沈んだ心の底から、自分の仕事に沒頭したい熱情を遽に感じ始めた。
— 横光利一 『悲しみの代價』 青空文庫
安息の無い、悩ましい、沈んだ心地で、捨吉は寄宿舎の部屋の方へ引返した。
— 島崎藤村 『桜の実の熟する時』 青空文庫
岸本は小父さんがわざわざ案内してくれた芝居からは反って沈んだ心持を受けて来た。
— 島崎藤村 『桜の実の熟する時』 青空文庫
しかし沈んだ心の底に燃える学芸の愛慕は捨吉をしてこうした一切のことを忘れさせた。
— 島崎藤村 『桜の実の熟する時』 青空文庫