御頭
おつむ
名詞
標準
文例 · 用例
そうして「宵の内はらはらとせし月の雲」(芭)と一転しているのは一見おとなしいようでもあるが、これを次に来る野坡の二句「藪越しはなす秋のさびしき」「御頭へ菊もらわるるめいわくさ」の柔らかく低いピッチに比べると、どうしても違った積極的主動的の音色を思わせる。
— 寺田寅彦 『連句雑俎』 青空文庫
両通共勝手次第之旨、御頭乾三殿|被申談候。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
「ぜんたい、その容はどうなされた」「わたしは伊右衛門に、散ざんな目に逢わされました、わたしは、このことを御頭まで申し出ようと思います」 お岩は身をふるわして泣いていた。
— 田中貢太郎 『四谷怪談』 青空文庫
嘗て近江より買ひ入れたる白牛に、鞍鐙、猩猩緋の装束をなし、御頭巾、唐人笠、御茶道衆に先をかつがせて、諸寺社へ参詣したりといふ。
— 国枝史郎 『天主閣の音』 青空文庫
更に侯の豪華なる、紅裏袷|帷子、虎の皮羽織、虎の皮の御頭巾を用ひ、熱田参詣の際の如き、中納言、大納言よりも高位の御装束にて、弓矢御持ち遊ばされ、御乗馬御供矢大臣多く召連れたり。
— 国枝史郎 『天主閣の音』 青空文庫
烈しくなると私を御離しなさらないで、切ないような目付をなさりながら、私の背に御頭を押しつけておいでなさる。
— 島崎藤村 『旧主人』 青空文庫
総身の血は一緒になって一時に御頭へ突きかかるようでした。
— 島崎藤村 『旧主人』 青空文庫
奥様の思いやつれた容姿は、眉のさがり、目の物忘れをしたさまから、すこし首を傾げて、御頭を左の肩の上に乗せたまでも、よく見えました。
— 島崎藤村 『旧主人』 青空文庫