沓
くつ
名詞
標準
文例 · 用例
促音は記号がない故、書きあらわされていない)、ヒ→促音(「冀ひて」がネガテ、「掩ひて」がオホテ)、グ→ウ(「藁沓」がワラウヅ)などは院政時代からあらわれている。
— 橋本進吉 『国語音韻の変遷』 青空文庫
だがたいていの場合は、市中の賑やかな雑沓の中を歩いている。
— 萩原朔太郎 『秋と漫歩』 青空文庫
碑文谷、武蔵|小山、戸越銀座など、見たことも聞いたこともない名前の町が、広漠たる野原の真中に実在して、夢に見る竜宮城のように雑沓している。
— 萩原朔太郎 『秋と漫歩』 青空文庫
さびしい路上の聖人よわたしは別れ もはや遠くあなたの沓音を聽かないだらう悲しみのしのびがたい時でさへもああ 師よ!
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
僕もまたそのやうに、都会の雑沓の中をうろついたり、反響もない読者を相手にして、用にも立たぬ独語などをしやべつて居る。
— 萩原朔太郎 『僕の孤独癖について』 青空文庫
凧のかげ夕方かけて読書かな夕立やかみなり走る隣ぐに沓かけや秋日にのびる馬の顔鯛の骨たたみにひらふ夜寒かな秋ふかき時計きざめり草の庵石垣に冬すみれ匂ひ別れけり 彼の俳句の風貌は、彼の人物と同じく粗剛で、田舎の手織木綿のやうに、極めて手触りがあらくゴツゴツしてゐる。
— 俳人としての芥川龍之介と室生犀星 『小説家の俳句』 青空文庫
そして尚ボードレエルの言うように、僕もまたそのように、都会の雑沓の中をうろついたり、反響もない読者を相手にして、用にも立たぬ独語などをしゃべって居る。
— 萩原朔太郎 『僕の孤独癖について』 青空文庫
須走は鎌倉街道ではあるが、山の坊という感じで、浅間山麓の沓掛や追分のような、街道筋の宿駅とは違ったところがある。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫