手摺
てすり
名詞
標準
文例 · 用例
手摺窓の障子を明けて頭を出すと、椎の枝が青空を遮って北を掩うている。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
背廣の輕裝に薄色の鳥打を被つて、甲板の手摺にそつと身を凭せてゐる。
— 南部修太郎 『修道院の秋』 青空文庫
種彦と云へば、アノ、「文字手摺昔人形」と云ふ本の中に、女が出陣する所がある。
— 泉鏡花 『いろ扱ひ』 青空文庫
「……あすこに人が一人立っているね、縁台を少し離れて、手摺に寄掛って。
— 泉鏡花 『古狢』 青空文庫
磴たるや、山賊の構えた巌の砦の火見の階子と云ってもいい、縦横町条の家ごとの屋根、辻の柳、遠近の森に隠顕しても、十町三方、城下を往来の人々が目を欹れば皆見える、見たその容子は、中空の手摺にかけた色小袖に外套の熊蝉が留ったにそのままだろう。
— 泉鏡花 『縷紅新草』 青空文庫
S=その二階 手摺りに凭れて、下の様子を見て居る、武蔵と団九郎である。
— 山中貞雄 『武蔵旅日記』 青空文庫
夕方の宿場の混乱の中に遂に二人を捕えると、宿の二階を見上げて、敬四郎ペコペコ頭を下げて、T「これで嬶ァに威張れます」 浪之助とお類、上を見ると宿の二階の手摺りに右門と伝六おふみに伊吉。
— 山中貞雄 『右門捕物帖 三十番手柄 帯解け仏法』 青空文庫
それは彼の田舎の家の前を通っている街道に一つ見窄らしい商人宿があって、その二階の手摺の向こうに、よく朝など出立の前の朝餉を食べていたりする旅人の姿が街道から見えるのだった。
— 梶井基次郎 『ある崖上の感情』 青空文庫