心なしか
こころなしか
表現
標準
somehow
文例 · 用例
落日の華やかさもなく、けさがたからの風は蕭々と一日じゅう吹き続けたまま暮れて行くのであるが、翁には心なしか、左手の垂れ雲の幕の裾が一二尺|掠り除れて行くように思われた。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
心なしか、わたくしが、父の通夜明けの春の宵に不忍の蓮中庵ではじめて会った雛妓かの子とは、殆ど見違えるほど身体にしなやかな肉の力が盛り上り、年頃近い本然の艶めきが、坐っているだけの物腰にも紛飾を透けて浸潤んでいる。
— 岡本かの子 『雛妓』 青空文庫
」 そのとき出て引っ込んだ女の細い手首は、それを見るわたくしの心なしか、顔を赭らめるように皮膚をぽっと赭らめていたように思われました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
心なしか、わたくしが会わないこの四ヵ月近くの間に、三人は急に育って大人びた様子に見えます。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
大分離れてゐるので、表情迄は分らないが、今はもうすつかり縛めを解かれて、心なしか、明るく元氣になつたらしく見える。
— ――ミクロネシヤ巡島記抄―― 『環礁』 青空文庫
大分離れているので、表情までは分らないが、今はもうすっかり縛めを解かれて、心なしか、明るく元気になったらしく見える。
— ――ミクロネシヤ巡島記抄―― 『環礁』 青空文庫
心なしか、この磴が金沢の松の上り口にそっくり似ている。
— 泉鏡花 『雪柳』 青空文庫
」 老爺は、心なしか瑠璃子達を脅すように、首を傾げた。
— 菊池寛 『真珠夫人』 青空文庫