空々寂々
くうくうじゃくじゃく
名詞-の形容詞形容詞-たる副詞-と
標準
deserted and lonesome
文例 · 用例
空々寂々の境で、山という山の気分が、富士山に向いて、集中して来る、谷から幾筋とない雲が、藍の腐ったような塊になって、立ち昇る、富士山はこの雲と重なって、心もち西へ西へと延びて来るようだ、蝕った雲の淵の深さが、何十尺かの穴となって、口が明く。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
空々寂々心中なんらの思うこともない体。
— 国木田独歩 『二老人』 青空文庫
この姿のおかげで老人は空々寂々の境にいつまでもいるわけにゆかなくなった。
— 国木田独歩 『二老人』 青空文庫
もちろんそれに不平らしい顔もなく、空々寂々として天命を楽しんでいるかのようにも思われた。
— 寺田寅彦 『備忘録』 青空文庫
それこそ空々寂々で、不圖立起ツて、急に何か思出したやうに慌しく書棚を覗きりながら、ポケットから金の時計を出して見て、何か燥々するので、頻にクン/\鼻を鳴らしたり、指頭で髮の毛を掻※したり、または喉に痰でもひツ絡むだやうに妄と低い咳拂をしてゐた。
— 三島霜川 『解剖室』 青空文庫
精神の欠乏が物質の不足以上だから、何を説いても空々寂々で少しも理解しない。
— 内田魯庵 『二葉亭四迷の一生』 青空文庫
申すまでもなく、これは『心経』が骨を折って、力強く説いておる「空」ということばは、決して空々寂々というような、何物もないのだというような、そんな単純な意味のものではない、ということを簡単な一句で巧みに、表現わしているのです。
— 高神覚昇 『般若心経講義』 青空文庫
お前にゃ空々寂々だ」。
— イワン・ツルゲーネフ Ivan Turgenev 『あいびき』 青空文庫