船子
ふなこ
名詞
標準
文例 · 用例
八人の船子を備えたる艀は直ちに漕寄せたり。
— 泉鏡花 『取舵』 青空文庫
舳櫓を押せる船子は慌てず、躁がず、舞上げ、舞下る浪の呼吸を量りて、浮きつ沈みつ、秘術を尽して漕ぎたりしが、また一時暴増る風の下に、瞻るばかりの高浪立ちて、ただ一呑と屏風倒に頽れんずる凄じさに、剛気の船子も※呀と驚き、腕の力を失う隙に、艫はくるりと波に曳れて、船は危く傾きぬ。
— 泉鏡花 『取舵』 青空文庫
八人の船子は効無き櫓柄に縋りて、「南無金毘羅大権現!
— 泉鏡花 『取舵』 青空文庫
半死の船子は最早神明の威令をも奉ずる能わざりき。
— 泉鏡花 『取舵』 青空文庫
学生の隣に竦みたりし厄介者の盲翁は、この時屹然と立ちて、諸肌寛げつつ、「取舵だい※」と叫ぶと見えしが、早くも舳の方へ転行き、疲れたる船子の握れる艪を奪いて、金輪際より生えたるごとくに突立ちたり。
— 泉鏡花 『取舵』 青空文庫
」 この声とともに、船子は礑と僵れぬ。
— 泉鏡花 『取舵』 青空文庫
船の帰るさに順風を得たるは、船子にも嬉しからぬことあらじ。
— 幸田露伴 『鼠頭魚釣り』 青空文庫
例の船子は「唐泊より川尻押すほどは」と唄っていた。
— 玉鬘 『源氏物語』 青空文庫