尖頂
せんちょう
名詞
標準
文例 · 用例
…… いや爰でこそ、呑気らしい事をいふものゝ、磊々たる巉巌の尖頂へ攀ぢて、大菩薩の小さな祠の、たゞ掌に乗るばかり……といつた処で、人間のではない、毘沙門天の掌に据ゑ給ふ。
— 泉鏡太郎 『十和田湖』 青空文庫
梵語アース(迅速)、ギリシア語のアコケー(尖頂)、ラテンのアクス(鍼)、アケル(迅速また鋭利また明察)、英語アキュート(鋭利)等から煎じ詰めて、これら諸語種の根源だったアリヤ語に鋭利また迅速を意味するアスてふ詞あったと知る。
— 馬に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
翌朝目がさめて戸外へ出て見ると、雲が晴れ上って、西の方に当って連峰の上、槍ヶ岳の尖頂は雲を突裂いて立っている。
— 吉江喬松 『木曾御嶽の両面』 青空文庫
翌朝目がさめて戸外へ出て見ると、雲が晴れ上つて、西の方に當つて連峯の上、槍ヶ岳の尖頂は雲を突裂いて立つてゐる。
— 吉江喬松 『山岳美觀』 青空文庫
下の方の谿谷の村々では、コツク・ゴオロワを尖頂につけた古寺の鐘樓から休息を告げるアンヂエリユスの鐘の音は遠く近く鳴りひゞいてゐるのである。
— 吉江喬松 『山岳美觀』 青空文庫
その他のものは何の変化もなく、太陽は、湯気立っている沼や、山の高い尖頂に、依然として無慈悲に輝いていて、私は、自分の眼の前で殺人が実際に行われて、一人の人間の生命がつい一瞬前に無残に絶たれたのだということを、ほとんど信ずる気にはなれないのであった。
— 宝島 『宝島』 青空文庫
ウェーベルの森の戦ぎの中に、または、北方の灰色の空に、ドイツ平原のはるかに、石の巨体と見通し尖頂の大きな塔をそばだてている、ヨハン・セバスチアンの大|伽藍の大きな影の中に、彼以上に敬虔な情をもって身を潜めた者があったろうか?
— JEAN-CHRISTOPHE 『ジャン・クリストフ』 青空文庫
サント・シャペル会堂の黄金彫りの尖頂が、花咲ける聖き棘が、立ち込んだ屋並みから突き出ていた。
— JEAN-CHRISTOPHE 『ジャン・クリストフ』 青空文庫