耳立つ
みみだつ
動詞
標準
文例 · 用例
夜に入つて雨が又強くなつて梓川の水音も耳立つて強くなつた。
— 寺田寅彦 『雨の上高地』 青空文庫
」 と耳立つほど、名を若く呼んだトタンに、早瀬は屹となって鋭く見た。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
なかに一人ちよつぴり鼻の尖つた狐のやうな表情をした、商人らしい男が、口汚くウヰルソンを罵るのが、殊更耳立つて聞えた。
— 大正七(一九一八)年 『茶話』 青空文庫
第一に目立つ――否耳立つ?
— 戸坂潤 『世界の一環としての日本』 青空文庫
二言目には、逢はれぬと、お清お清のその中には、春衛さんの、大臣が耳立つて。
— 清水紫琴 『移民学園』 青空文庫
夏冬ともに人の声よりも小鳥の囀る声が耳立つかと思われる。
— 永井荷風 『葛飾土産』 青空文庫
初秋の日はいつか暮れかけ、玉蜀黍をゆする風の音につれて道端に鳴く蟲の音が俄に耳立つて來るので、此の上いか程尋ね歩いても、門札の讀み分けられる中には到底行き當りさうにも思はれないやうな氣がし出した。
— 永井荷風 『羊羹』 青空文庫
朝顔の花が日毎に小さくなり、西日が燃える焔のやうに狭い家中へ差込んで来る時分になると鳴きしきる蝉の声が一際耳立つて急しく聞える。
— 永井荷風 『すみだ川』 青空文庫