近郷近在
きんごうきんざい
名詞
標準
surrounding country
文例 · 用例
しかも、それが非常な美人だったので「深良小町」の名が近郷近在に鳴り響いているのであったが、可哀相な事にそのマユミは学問上で早発性痴呆という半分生れ付みたような薄白痴であった。
— 夢野久作 『巡査辞職』 青空文庫
……にも拘わらず草川巡査の狂人に近い熱心な努力は近郷近在の溜池をまで残る隈なく及んだのであったが、それでも兇器らしいものすら発見出来なかったので、事件の神秘性は、いよいよ高まって行くばかりであった。
— 夢野久作 『巡査辞職』 青空文庫
」「鳥右ヱ門様なら、近郷近在に御名の聞えた御名人。
— 新美南吉 『鳥右ヱ門諸国をめぐる』 青空文庫
「四手場を拵えて網を張るものは近郷近在、私の他に無いのぢやが、……お前様が見さしつた、城ヶ|沼の四手場の足代の上の黒坊主と……はてな……其の坊様は大い割に、色が蒼ざめては居らんかの。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
ところがツイ二三年前のこと、甲州生れの大工上りとかいう全身に黥をした大入道で、三多羅和尚という豪傑坊主が、人々の噂を聞いて、一番俺がその妖怪を退治てくれようというのでその寺に住い込み、自分でそこ、ここを修繕して納まり返り、近郷近在の無頼漢を集めて御本堂で賭博を打たせ、寺銭を集めて威張っている。
— 夢野久作 『名娼満月』 青空文庫
月代の伸びた荒くれ男どもは本職の渡世人らしく、頬冠りや向う鉢巻で群がっている穢苦しい老若は、近郷近在の百姓や地主らしい。
— 夢野久作 『名娼満月』 青空文庫
これは今までにも仕事に疲れた時なんかに、よくやって来た事ですが、中学に行っている長男や、私の家に遊びに来ている農村の青年なぞを引っぱって近郷近在の野山を盲目滅法に歩きまわるのでした。
— 夢野久作 『スランプ』 青空文庫
この麹町の裏店に住む独身者は、近郷近在へ出て小間物の行商をやるのが本職で、疲労れた時とか天気の悪い日とかでないと店の戸は開けなかった。
— 田中貢太郎 『山姑の怪』 青空文庫