氾
氾
名詞
標準
文例 · 用例
到るところ、詩壇は自由詩によって氾濫されていると言っても好い。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
ここは利根川、その氾濫のながめいちじるく、青空に桑の葉光り、さんらんとして遠き山里に愁をひたす、あはれ、あはれ、われの故郷にあなれば、この眺望のいたましさ。
— 萩原朔太郎 『厩』 青空文庫
私を信頼しきつて、安心しきつてかの女の心は蜜柑の色にそのやさしさは氾濫するなく、かといつて鹿のやうに縮かむこともありませんでした私はすべての用件を忘れこの時ばかりはゆるやかに時間を熟読|翫味しました。
— 中原中也 『山羊の歌』 青空文庫
きのうの豪雨で山の水源地は氾濫し、濁流|滔々と下流に集り、猛勢一挙に橋を破壊し、どうどうと響きをあげる激流が、木葉微塵に橋桁を跳ね飛ばしていた。
— 太宰治 『走れメロス』 青空文庫
のらくらの、臆病者の、そうして過度の感覚の氾濫だけだ。
— 太宰治 『新ハムレット』 青空文庫
「やたらに煩瑣で、そうして定理ばかり氾濫して、いままでの数学は、完全に行きづまっている。
— 太宰治 『愛と美について』 青空文庫
ああ、この、だらしない恋情の氾濫。
— 太宰治 『思案の敗北』 青空文庫
一日、一日、カク手ガ氾濫シテ来テ、何ヲ書イテモ、ドンナニ行儀ワルク書イテモ、ドンナニ甘ッタレテ書イテモ、ソレガ、ソンナニ悪イ文章デナシ、ヒトトオリ、マトマリ、ドウニカ小説、佳品、トシテノ体ヲ為シテイル様、コレハ危イ。
— 太宰治 『創生記』 青空文庫