漕ぎ戻る
こぎもどる
動詞
標準
文例 · 用例
船は静かな海を岸へ漕ぎ戻る。
— 夏目金之助 『坊っちやん』 青空文庫
そうして日が暮れてから漕ぎ戻るふりをしてイギリスの軍艦にぶっつけて、その五、六人が軍艦と一緒に粉微塵になってしまおうという計画なんです」「まあなんて恐ろしい……」「もちろん東京を発つ前までの計画では、時計仕掛の水雷を作って、そいつをイギリスの軍艦の横にソッと沈めて来る手筈だったのです。
— 夢野久作 『女坑主』 青空文庫
白雲はそれを追究せず、そのうちに乗って来た小舟のあるところに到着すると、一行がこれに取乗って、本船さして漕ぎ戻る極めて無事な光景であります。
— 椰子林の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
ただ彼等の様子から、深く怪しみ、一途に怖れてゐることのみが分つたから、今は諦めて空しく本船へ漕ぎ戻るほかに仕方がなかつた。
— ――ヨワン・シローテの殉教―― 『イノチガケ』 青空文庫
そのうちに、ほかのボートで漕ぎ戻るか、湖水の岸の道を歩いてくるかするのだろうが、久美子には生存を廃棄するというさし迫った仕事があるので、あてのない大池の帰りを待っていられない。
— 久生十蘭 『肌色の月』 青空文庫
或るとき眠り忘れて退き汐になり、そうなると櫂で漕ぎ戻るのは困難だから、少なからず狼狽したけれども、沖の漁から帰って来る知りあいの機械船をみつけて、浦粕まで曳き戻ってもらうことも覚えた。
— 山本周五郎 『青べか物語』 青空文庫
水夫達は当惑したが、見れば一人はかねて九州ヒヤマレゴ(該当地不詳)の港で面識のある者であるから、とにかくボートに乗せて本船へ漕ぎもどることにした。
— ――ヨワン・シローテの殉教―― 『イノチガケ』 青空文庫