寝静
ねしずか
名詞
標準
文例 · 用例
2猫が鳴いてゐた、みんなが寝静まると、隣りの空地で、そこの暗がりで、まことに緊密でゆつたりと細い声で、ゆつたりと細い声で闇の中で鳴いてゐた。
— 中原中也 『曇つた秋』 青空文庫
で、家中が寝静まると、何処か一ケ所、小屏風が、鶴の羽に桃を敷いて、すッと廻ろうも知れぬ。
— 泉鏡花 『雛がたり』 青空文庫
路の両側しばらくのあいだ、人家が断えては続いたが、いずれも寝静まって、白けた藁屋の中に、何家も何家も人の気勢がせぬ。
— 泉鏡花 『星あかり』 青空文庫
けれども、欄干に乗出して、も一つ橋越しに透かして見ると、門は寝静ったように鎖してあった。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
弥よ明日が手術といふ夜は、皆寝静まつてから、しく/\蚊のやうに泣いて居るのを、手水に起きた娘が見つけてあまりの不便さに抱いて寝てやつた。
— 泉鏡太郎 『高野聖』 青空文庫
―― で、月が三ツ四ツ出て路を照らすのも、案山子が飛ぶのも、傘の車も、其の車に、と反身で、斜に構へて乗つた像の活けるが如きも、一切自分の神通力の如くに感じて、寝静まつた宿屋の方へ拳を突出して呵々と笑つた。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
支那人は、警戒兵が寝静まったころを見はからって、その自然を利用した。
— 黒島伝治 『国境』 青空文庫
自分の寝静まるのを待って、お政はひそかに箪笥からこの帯を引出し、明朝早くこれを質屋に持込んで母への金を作る積と思い当った時、自分は我知らず涙が頬を流れるのを拭き得なかった。
— 国木田独歩 『酒中日記』 青空文庫