橿
橿
名詞
標準
文例 · 用例
鎌倉街道よりはわきへそれ、通りすがりの打見には、橿原の山の端にかくれ、人通りしげき葉山の路とは、方位異なり、多くの人は此の景勝の霊地を知らず、小生も久しく不心得にて過ぎ申候。
— 泉鏡花 『逗子より』 青空文庫
」 と言いかけて身体ごと、この巌殿から橿原へ出口の方へ振向いた。
— 泉鏡花 『春昼後刻』 青空文庫
路は、あわれ、鬼の脱いだその沓を跨がねばならぬほど狭いので、心から、一方は海の方へ、一方は橿原の山里へ、一方は来し方の巌殿になる、久能谷のこの出口は、あたかも、ものの撞木の形。
— 泉鏡花 『春昼後刻』 青空文庫
三十一「またこの橿原というんですか、山の裾がすくすく出張って、大きな怪物の土地の神が海の方へ向って、天地に開いた口の、奥歯へ苗代田麦畠などを、引銜えた形に見えます。
— 泉鏡花 『春昼後刻』 青空文庫
橿原の奥深く、蒸し上るように低く霞の立つあたり、背中合せが停車場で、その腹へ笛太鼓の、異様に響く音を籠めた。
— 泉鏡花 『春昼後刻』 青空文庫
それから段々あの橿原の家を向い合いに、飛び飛びに、千鳥にかけて一軒一軒、何処でもおなじことを同一ところまで言って、お銭をねだりますんでございますがね、暖い、ねんばりした雨も、その門附けの足と一緒に、向うへ寄ったり、こっちへよったり、ゆるゆる歩行いて来ますようです。
— 泉鏡花 『春昼後刻』 青空文庫
木村文河、名は定良、字は駿卿、通称は駿蔵、一に橿園と号した。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
柳橋を過ぐる詩と橿園に訪はれた詩とには、稍衰残の気象が見える。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫