神さび
かみさび異読 かむさび・かんさび
名詞
標準
behaving like a god
文例 · 用例
神さびた境内にたたずんで、夜山をかけた参詣の道者が、神前に額ずいての拍手を聞きながら、「日本の山には、名工の建築があるからいいなあ」と思った。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
神楽殿の傍には、周囲六丈四尺、根廻りは二丈八尺、と測られた神代杉がそそり立って、割合に背丈は高くないけれど、一つ一つの年輪に、山の歴史の秘密をこめて、年代の威厳が作り出す色づけと輪廓づけを、神さびた境内の空気に行わたらせている。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
「天地のわかれし時ゆ、神さびて」と歌った山辺赤人は旅人であった。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
一石一字をろがみて、 そのかみひそにうづめけん、寿量の品は神さびて、 みねにそのをに鎮まりぬ。
— 宮沢賢治 『文語詩稿 一百篇』 青空文庫
又ある時は、お祭りの人ごみに立ちまじって、赤いゆもじの裾を染め、オモチャの笛をあわれみ詰まらせ、神木の肌を神さびさせ、仁王様の腕の古疵を疼き痛ませ、御神鏡の光を朧にした上に、伏しおがむ人々の睫毛までも白々としばたたかせて、昔ながらの迷信をいよいよ薄黒く、つまらなく曇らせる。
— 夢野久作 『塵』 青空文庫
黎明の不尽天地の闢けしはじめ、成り成れる不尽の高嶺は、白妙の奇しき高嶺、駿河甲斐|二国かけて、八面に裾張りひろげ、裾広に根ざし固めて、常久に雪かつぐ峰、かくそそり聳やきぬれば、厳しくも正しき容、譬ふるに物なき姿、いにしへもかくや神さび、神ながら今に古りけむ。
— 北原白秋 『観相の秋』 青空文庫
天地の分れし時ゆ、神さびて高く貴き駿河なる富士の高嶺を、天の原振りさけ見れば渡る日の、影も隠ろひ、照る月の、光も見えず、白雲もい行憚り時じくぞ雪は降りける、語り継ぎ云ひ継ぎ行かん富士の高嶺は。
— 北村透谷 『富嶽の詩神を思ふ』 青空文庫
和歌山県の神主の総取締りする人が新聞で公言せしは、神社は正殿、神庫、幣殿、拝殿、着到殿、舞殿、神餐殿、御饌殿、御炊殿、盛殿、斎館、祓殿、祝詞屋、直殿、宿直所、厩屋、権殿、遙拝所の十八建築なければ設備全しと言うべからずとて、いかに神林大いに茂り四辺神さびたる神社を見るも、設備足らずとてこれを滅却す。
— 南方熊楠 『神社合祀に関する意見』 青空文庫
作例 · 標準
古社の境内には神さびた空気が漂い、訪れる者を厳粛な気持ちにさせた。
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何百年も前からそこに立つ巨木は、まさに神さびた威厳を放っている。
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山奥の岩窟には、神さびた雰囲気を持つ石像がひっそりと安置されていた。
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その絵画は、時代を超越した神さびた美しさで人々を魅了した。
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