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仲秋

ちゅうしゅう
名詞
1
標準
文例 · 用例
何故彼の日本の恋人が、彼を裏切って他の恋人に走ったということが確実に判った朝、彼は、彼の恋人のその宣言のような手紙を受取って読んだ瞬間つと立ち出でて、伯林の仲秋の街路へ出たのか彼にもはっきり判らなかった。
岡本かの子 伯林の落葉 青空文庫
いずこともなく、天|麗かに晴れて、黄昏か、朝か、気|清しくして、仲秋のごとく澄渡った空に、日も月の形も見えない、たとえば深山にして人跡の絶えたる処と思うに、東西も分かず一筋およそ十四五町の間、雪のごとく、霞のごとく敷詰めた白い花。
泉鏡花 黒百合 青空文庫
一年の中に夕の潮は秋の潮最も大にして、一月の中に満月の夜の潮はまた最も大に、加之月の上る頃はこのあたりにては潮のさし来る勢最も盛なる時なれば、東京広しといへども仲秋の月見にはこのあたりに上越したる好き地あるべくもあらず。
幸田露伴 水の東京 青空文庫
人もし試に仲秋船を泛めてこのあたりに月を賞しなば、必ずや河も平生の河にあらず月も平生の月にあらざるを覚えて、今までかゝる好風景の地を知らで過ぐしゝを憾むるならん。
幸田露伴 水の東京 青空文庫
丁度仲秋の十六夜の後一日である。
幸田露伴 蒲生氏郷 青空文庫
事の起きたのは仲秋|上浣。
卒塔婆を祭った米びつ 右門捕物帖 青空文庫
…… 九月十二日 晴、曇、仲秋、二百二十日。
種田山頭火 其中日記 青空文庫
仲秋無月ではあるまいけれど、雲が多いのは残念だ、思はず晩酌を過して、ほんたうに久しぶりに、夜の街を逍遙する、例の如くYさんから少し借りる、あちらで一杯、こちらで一杯、涼台に腰をかけさせて貰つて与太話に興じたりする、そのうちに幸か不幸かH君に会ふ、M食堂へ誘はれて這入る、女給よりも刺身がうまかつた!
種田山頭火 其中日記 青空文庫