熟柿臭
じゅくししゅう
名詞
標準
文例 · 用例
この心は、美女に対して、熟柿臭きを憚るなり。
— 泉鏡花 『山吹』 青空文庫
吃驚して文三がフッと貌を振揚げて見ると、手摺れて垢光りに光ッた洋服、しかも二三カ所|手痍を負うた奴を着た壮年の男が、余程|酩酊していると見えて、鼻持のならぬ程の熟柿臭い香をさせながら、何時の間にか目前に突立ッていた。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
」鵬斎は熟柿臭い息をついた。
— 初出未詳 『茶話』 青空文庫
外套、上衣とも襟の処には葉巻の芳香と、熟柿臭い臭気とが沁み込んでプンプンと匂っている。
— 夢野久作 『暗黒公使』 青空文庫
しかも非人同様の姿ながら恐れ気もないその態度と、プンプンする熟柿臭い異臭が、いかにも不快な感じを与えたらしい。
— ――博多名物非人探偵 『狂歌師赤猪口兵衛』 青空文庫
』 と指し乍ら熟柿臭い呼吸を吹いた。
— 島崎藤村 『破戒』 青空文庫
猿は礑と地に平伏して、熟柿臭き息を吻き、「こは何処の犬殿にて渡らせ給ふぞ。
— 巌谷小波 『こがね丸』 青空文庫
襟も裾も亂れたまゝ、熟柿臭い顏を、わが子の濡れた頬に持つて行くのです。
— 受難の通人 『錢形平次捕物控』 青空文庫