養狐
ようこ
名詞
標準
文例 · 用例
雨がまたしめじめと降りかけた時に、私たちは養狐場の高い板囲いの潜り戸を開けてもらっていた。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫
養狐場を出たところで、私はまた牛舎の白い狭霧を、厩舎や豚舎の小雨を見た。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫
養狐場が所々にある、銀狐を生育さすのである、狐の食料は人間よりも贅沢で月二十円位はかゝるさうな、そして一ヶ年の後には毒殺されて毛皮は数百金に売れるといふ、資金を要する商売であるが、なか/\儲かるさうな。
— 種田山頭火 『旅日記』 青空文庫
帰国するまでに、約二週間はありましたから、その間、羅府のブロオドウェイを、或いは、ロングビイチの下町を、又はマウントロオの養狐場を、ただ訳もなく遊び歩いたのも、ひたすら手近な享楽で、眼の前に蓋をしている気持でした。
— 田中英光 『オリンポスの果実』 青空文庫
マウントロオで、ケエブルカアから降りて村川と二人、養狐場のほうへ行きかけると、すれちがった若い亜米利加娘が二人、とつぜんぼく達を呼びとめ、ぼくの持っていたカメラで撮してくれというのです。
— 田中英光 『オリンポスの果実』 青空文庫
狐の襟巻がはやり出したときいた缶チヤンは、早速一儲けしようと膝を打つて、此処に養狐事業を計画いたしました。
— 牧野信一 『熱海線私語』 青空文庫
医学博士製造は、こうした仲々年数もかかり価格も大きい投資の結果であるのだが、それも養狐場や養魚場のように、一目瞭然とした装置の下に行われると、誰も誤解をしないのだが研究室や教授会やと云った荘厳なカムフラージの下で行われるから、世間はこの神聖な取り引きの目的をウッカリ見落して了うのである。
— 戸坂潤 『社会時評』 青空文庫
……ぢや、何處かで狐でも飼つてゐると見えますね」「ああ……この先きに養狐所があるがね……」「養狐所?
— 堀辰雄 『馬車を待つ間』 青空文庫