楽家
がくけ
名詞
標準
文例 · 用例
なぜなら音楽の表現は、音の高低強弱に於ける旋律とリズムを通じて、心の悲しみや喜びやを、それの気分さながらに描出するのであるから、音楽家が音によって心内の情緒を描くのは、画家が色や線やによって、外界の物象をさながらに描くと同じく、ひとしく対象の観照である。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
たとえばショパンや、ベートーベンや、ドビッシーやは、常に一般から詩人音楽家と呼ばれている。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
しかもさうした純潔の詩人の生涯こそ、かの音楽家のそれと等しく、人生の最も神聖なる住宅、即ち道徳及びその他の感情生活の世界を支配する最高至美の権威でなければならない。
— 愛の詩集の終りに 『愛の詩集』 青空文庫
一韻文音楽家たるには余りに芸術家であつた彼は、その形式の中に、根本的に絵画の或る物を持つてゐた。
— 中原中也 『トリスタン・コルビエールを紹介す』 青空文庫
しかし相当な音楽家と云われる人の演奏でも、どうもただ楽器から美しい旋律や和絃を引出しているというだけの感じしかしない場合が多いようである。
— 寺田寅彦 『断片(2)』 青空文庫
しかし、また一方から考えると、元来多くの鳥は天性の音楽家であり、鴉でも実際かなりに色々の「歌」を唄うことが出来るばかりでなく、ロンドンの動物園にいたある大鴉などは人が寄って来ると“Who are you ?”と六かしい声で咎めるので観客の人気者となったという話である。
— 寺田寅彦 『鴉と唱歌』 青空文庫
ホテルの食堂へはいって見ると、すぐ向うの席に有名な某音楽家の家族連れがいる。
— 寺田寅彦 『箱根熱海バス紀行』 青空文庫
音楽家はボーイを読んで勘定を命じながら内かくしから紙入れを捜ってその中から紙幣のたばを引出した。
— 寺田寅彦 『箱根熱海バス紀行』 青空文庫