駆付
かけるつけ
名詞
標準
文例 · 用例
それから彼は牝馬の所に駆付けた。
— 中原中也 『山間秘話』 青空文庫
災害直後時を移さず政府各方面の官吏、各新聞記者、各方面の学者が駆付けて詳細な調査をする。
— 寺田寅彦 『津浪と人間』 青空文庫
猟夫が目くるめいて駆付けると、凍てざまの白雪に、ぽた、ぽた、ぽたと紅が染まって、どこを撃ったか、黒髪の乱れた、うつくしい女が、仰向けに倒れ、もがいた手足をそのままに乱れ敷いていたのである。
— 泉鏡花 『神鷺之巻』 青空文庫
雑誌社から送って来るのを待ちかねて、近所の雑誌店へ駆付けて、買って来て、何遍か繰返して読んでも読んでも読飽かなかった。
— 二葉亭四迷 『平凡』 青空文庫
あるところへ一日の中に九|度も車で駆付けさして、しかも雨のドシャ降りの日に、この店を活かすなり殺すなりどうなりともしてくれ、そう言って私が転がり込んで行った……宛然ユスリですネ……どうしても先方で逢わない。
— 島崎藤村 『家(下巻)』 青空文庫
お利代が医師に駆付けた後、智恵子は怺へかねて一人で行つた。
— 石川啄木 『鳥影』 青空文庫
母と祖母は直ぐに駆付けた。
— 牧野信一 『疳の虫』 青空文庫
然るに其田池の前には、今一群の人が黒く影をあつめて居て、その傍には根本家と記した高張提燈が、月が冴々しく満面に照り渡つて居るにも拘はらず、極めて朧げに立てられてあるが、自分はそれと聞いて、驚いて、其傍に駆付けて、その悲惨なる光景を見た時は、果して何んな感に撲たれたであらうか。
— 田山花袋 『重右衛門の最後』 青空文庫