怒濤
どとう
名詞
標準
文例 · 用例
万寿丸はデッキまで沈んだその船体を、太平洋の怒濤の中へこわごわのぞけて見た。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
そして、同時に物すごい怒濤が、船首、船尾の全部をのもうとするように打ち上げて来た。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
甲板の上は見事に掃除されて、その掃除手の怒濤は、わずかに甲板のすみに凍りついて残っているのみであった。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
難破船は、薄やみの中に、暴れ狂う怒濤の中に、伝奇小説の中で語られた悲しき運命の船のごとくに、とり残された。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
そして彼らはその考えをまとめることも、機会を捕えることもできないで「小資本を貯めるための、きわめて短い時間だけ、この危険な仕事によって金もうけをしよう」とした最初の考えは、そのまま彼らを怒濤の上で老年にしてしまい、磨滅した心棒にしてしまうのであった。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
暴化はややその勢いを静めはしたが、しかも、船首甲板などは一|浪ごとに怒濤が打ち上げて来た。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
十一時、サンパンは、その非常に危険な怒濤の中におろされなければならなかった。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
どう考えても、私には、それより他に生き方が無いと思われて、三つの手紙に、私のその胸のうちを書きしたため、岬の尖端から怒濤めがけて飛び下りる気持で、投函したのに、いくら待っても、ご返事が無かった。
— 太宰治 『斜陽』 青空文庫