舎風
しゃふう
名詞
標準
文例 · 用例
民子は全くの田舎風ではあったが、決して粗野ではなかった。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
何故といつて、あの温泉は、田舎の百姓が湯の隅で念仏を称へたり、不潔な女をひやかしたりするやうな、全然田舎風の空気をもつた浴場であつて、周囲の新鮮な自然と全く不調和であるからである。
— 萩原朔太郎 『石段上りの街』 青空文庫
併し、田舎風の温泉でなくとも、塩原のやうな所はまた嫌ひである。
— 萩原朔太郎 『石段上りの街』 青空文庫
人間でも建築でも、田舎風の煤ぼけた者ががやがや混み合つて居るのでなくして、都会風の明るい感じの者で、小ぢんまりとして居る所が好い。
— 萩原朔太郎 『石段上りの街』 青空文庫
衣装にすれば色彩の鮮明な、白とか、青とか、水色とかいつたやうなものが好く、建築にすれば、感じの薄暗い田舎風の家より、明るい西洋建築や、軽快な都会風の家屋が好い。
— 萩原朔太郎 『石段上りの街』 青空文庫
根岸派では、饗庭篁村が先達で、八文字舎風の軽妙洒脱な紀行文を書き『東京朝日』の続きものとして明日を楽しませた。
— ――田山花袋氏―― 『紀行文家の群れ』 青空文庫
私たちが土間の表口を出ると、その前から始めての客を恥しがり、羽目の蔭に隠れて様子を窺っていたらしい子供連れの若い田舎風のおかみさんが裏口から土間の中へそっと入りました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
壮麗な石造りの間の処どころへ態と田舎風を取入れたホテルの玄関へ小田島が車を乗り付けた時、傍の道路の闇に小屋程の塊が、少し萌して来た暁の光を受け止めて居るのが眼に入った。
— 岡本かの子 『ドーヴィル物語』 青空文庫