様事
さまこと
名詞
標準
文例 · 用例
炭をあのままにして置けばこれから幾干でも取られます」「台所の縁の下はどうだ」と真蔵は放擲って置いてもお源が今後容易に盗み得ぬことを知っているけれど、その理由を打明けないと決心てるから、仕様事なしにこう言った。
— 国木田独歩 『竹の木戸』 青空文庫
私は新富座か二丁目ならともかくも、そんな珍木会とか親睦会とかいう者なんざア七里々けぱいだけれども、お勢……ウーイプー……お勢が往たいというもんだから仕様事なしのお交際で往て見たがネ、思ッたよりはサ。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
やあ、僕の理想は多角形で光沢があるの、やあ、僕の神経は錐の様に尖がって来たから、是で一つ神秘の門を突いて見る積だのと、其様事ばかり言う。
— 二葉亭四迷 『平凡』 青空文庫
当時パラオ地方に「神様事件」といわれるものが起っていた。
— ※ 『南島譚』 青空文庫
マアシヤル氏はあいにく顔を唯一つしか持ち合はさなかつたので、仕様事なしに、先づ一人の写真師の方を向き、それから次ぎの方を向いてやつた。
— 大正六(一九一七)年 『茶話』 青空文庫
二三日経つてからの事、為様事なしの松太郎はブラリと宿を出て、其処此処に赤い百合の花の咲いた畑径を、唯一人東山へ登つて見た。
— 石川啄木 『赤痢』 青空文庫
用の少い官吏とか会社員とかが、仕様事なしの暇つぶしに、よく行る奴で、恁※事をする男は、大抵弾力のない思想を有ツて居るものだ。
— 石川啄木 『漂泊』 青空文庫
仕様事なさに、一日門口へ立つて見たり、中へ入つて見たりしてゐたが、蛇の目傘をさした源助さんの姿が、時々|彼方此方に見えた。
— 石川啄木 『天鵞絨』 青空文庫