怱
怱
名詞
標準
文例 · 用例
怱忙として脳裡に過ぎる十八年の歳月。
— 岡本かの子 『雛妓』 青空文庫
年下の女にからかわれて、この場合、お徳も少しむっとしたが、そんなことを云い争っている時でもないので、かれはそれを聞き流して怱々に帰った。
— むらさき鯉 『半七捕物帳』 青空文庫
二人は隅のほうに小さくなって、怱々に飯をくってしまった。
— 大森の鶏 『半七捕物帳』 青空文庫
文次郎はそのまま息が絶えてしまったので、勇二は這い起きてその懐中の金を奪い、その上に大小は勿論、煙草入れから鼻紙まで残らず奪い取って、死骸は海へ突き流そうと浪打ちぎわまで引き摺って行くときに、誰かそこへ通りかかったので、勇二はあわてて提灯を吹き消して、怱々に逃げ出しました。
— 大森の鶏 『半七捕物帳』 青空文庫
「食べ立ちで失礼だが、御用が忙がしいからお暇をします」 飯を食ってしまうと、二人は怱々にここを出て、新堀の川伝いに、豊海橋から永代僑の方角へぶらぶら歩いて行った。
— 大阪屋花鳥 『半七捕物帳』 青空文庫
あはははは」 ここでいつまで争っても水掛け論であると諦めて、半七は怱々にここを出た。
— 大阪屋花鳥 『半七捕物帳』 青空文庫
そうして、あたしはお前をさんざん可愛がって上げたんだからね、きょうを命日に線香の一本も供えておくれよと、にっこり笑ったので、小勝は蒼くなって怱々に逃げ出したと云います。
— 大阪屋花鳥 『半七捕物帳』 青空文庫
「そうして、その化け物はどっちの堤下へ投げられたんですえ」「川寄りの方でございます」「なるほど不思議なことがあるもんですね」 勘定を払って、二人は怱々にそこを出た。
— お照の父 『半七捕物帳』 青空文庫