稲むら
いなむら
名詞
標準
stack of rice straw
文例 · 用例
「第十、稲むらの火。
— 新美南吉 『嘘』 青空文庫
橋を渡つて、向方の稲むらの間に達しても動いてゆく久良のかたちは、どこまでもはつきりとしてゐた。
— 牧野信一 『木枯の吹くころ』 青空文庫
久良は、戯れに稲むらの間を事更にジクザクと縫つて、このまま別れてゆくのが名残り惜しいといふ風に、いつまでも振り返つてこくりこくりと首を動かせたり、慌てて稲むらの蔭に隠れたりした。
— 牧野信一 『木枯の吹くころ』 青空文庫
「あれあれ、お父さんの冠りの先きが……」 六尺もある大男が一尺歯の高下駄を穿いてゐるのだから、天狗の顔は稲むらの上にひとり浮び上つて、遠方からでも直ぐと解るのである。
— 牧野信一 『バラルダ物語』 青空文庫
いつか、もう夜は、ほのぼのと明けて、山は藍色に、野は広袤として薄霧の中に稲むらの姿を点々と浮べてゐるのみであつた。
— 牧野信一 『バラルダ物語』 青空文庫
人を待ち構へ、遣り過し、或は立ち聴くに恰好な、木立ちや土手の無い平野に散在する稲むらの蔭は、限り無き歴史の視野を、我等の前に開いてくれる。
— 折口信夫 『稲むらの蔭にて』 青空文庫
此田畑の畔に立つ稲むらの組み方や大小形状については、地方々々で尠からず相違があるらしいが、此と同時に、此物を呼ぶ名称も亦、至つてまち/\である。
— 折口信夫 『稲むらの蔭にて』 青空文庫
私どもの考へでは、今が稲むら生活の零落の底では無いか、と思はれる。
— 折口信夫 『稲むらの蔭にて』 青空文庫
作例 · 標準
収穫を終えた田んぼのあちこちに、天日干しを待つ大きな稲むらがそびえ立っている。
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子供の頃、夕暮れ時の稲むらに隠れてかくれんぼをしたのを今でも鮮明に覚えている。
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「あそこの稲むら、崩れかけてるから明日の雨の前に直しておかないとな」と父が呟いた。
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