検微
けんび
名詞
標準
文例 · 用例
それを検微鏡で見たらさぞ面白かろう、まのぬけた顔をしてこんな事を思った。
— 宮本百合子 『芽生』 青空文庫
学舎の壁は火で煤け、天井はやっと夜露を凌ぐばかりだが学者達は半片の紙、半こわれの検微鏡を奇蹟のように働かせて、真理へ一歩迫ろうとしています。
— 宮本百合子 『対話』 青空文庫
細菌のところで検微鏡の下にあらわれた細菌は、まるでタンポポのわた毛がとんだあとの短く細いしんのようなものね。
— 一九四〇年(昭和十五年) 『獄中への手紙』 青空文庫
おかげで、聖モリッツや、モントルウや、インタラアケンや、ルツェルンなどの小博物館のような記念品屋で、水を入れると歌い出す小鳥のコップ・開け方のわからない謎の洋襟箱・検微鏡でなければ針の読めない小さな時計・オルゴウル入りで「|甘い家庭」を奏する煙草壷、なんかが店を空にするまで売れて往くのだ。
— 白い謝肉祭 『踊る地平線』 青空文庫
また私の検微鏡用切断器の捻子が一つ曲ったのを、真直にするのには、二セントかかった丈である。
— 日本その日その日 『日本その日その日』 青空文庫
あれを、あれを」 見よ、塀に写し出されたヘッドライトの円光の中に、まるで検微鏡で覗いた微虫の群かなんぞの様に、ボンヤリと、それ故に一層不気味に5という数字が現われているではないか。
— 江戸川乱歩 『魔術師』 青空文庫
丁度汽車か船の便所と同じで、不潔物が溜る様なことはなく、綺麗と云えば綺麗だが、その長方形に区切られた穴から、じっと下を見ていると、底の知れない青黒い水が澱んでいて、時々ごもくなどが、検微鏡の中の微生物の様に、穴の端から現われて、ゆるゆると他の端へ消えて行く。
— 江戸川乱歩 『陰獣』 青空文庫
「マア、おかけなさい」 白衣の老人は検微鏡の置いてある机の前に腰かけて、前の椅子をさし示した。
— 江戸川乱歩 『猟奇の果』 青空文庫