野の花
ののはな
名詞
標準
wild flowers
文例 · 用例
翌る年の春、上野の花が散ってしまった頃、ある夜膳を下げに来た宿の主婦の問わず語りに、阪の下の荒物屋の娘が亡くなったと云う話をした。
— 寺田寅彦 『やもり物語』 青空文庫
夭死と云う事が、何だか一種の美しい事のような心持がしたし、またその時考えていた死と云うものは、有が無になるような大事件ではなく、ただ花が散ってその代りに若葉の出るようなほんのちょっとした変り目で、人が死んでも心はそこらの野の花になって咲いているような事を考えていた。
— 寺田寅彦 『枯菊の影』 青空文庫
低きには森あり、林あり、野の花あり、しかして高きには雪あり、氷あり、我らの不二山は、小さい山だが、熱帯地方の二倍も高い山より偉大なるは、雪と氷に包まれているためである。
— 小島烏水 『梓川の上流』 青空文庫
風景なり人物なり、これで撮って適当な薬液で現像すれば蒼い空に浮く雲も、森の緑、野の花の黄紅白紫、ないしは美人の頬の桜色でもすぐに種板に現われるというのは愉快である。
— 寺田寅彦 『天然色写真新法』 青空文庫
花を見ながらふと気の付いたことは、若いときから上野の花を何度見たかしれない訳であるが、本当に桜の花を見て楽しむ意味での花見をすることが出来るようになったのはほんの近年のことらしい、ということである。
— 寺田寅彦 『雑記帳より(2)』 青空文庫
一面に陳列された商品がさき盛った野の花のように見え、天井に回るファンの羽ばたきとうなりが蜜蜂を思わせ、行交う人々が鹿のように鳥のようにまたニンフのように思われてくるのである。
— 寺田寅彦 『夏』 青空文庫
そのかわりまたなんとなくあっさりした野の花のような趣はあった。
— 寺田寅彦 『病室の花』 青空文庫
私はソロモンの栄華と野の花のよそおいを対比して考察したりなんかしない。
— 種田山頭火 『白い花』 青空文庫
作例 · 標準
道端に咲く可憐な野の花に、心が癒された。
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子供たちは野の花を摘んで、母親にプレゼントした。
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春になると、野の花が一斉に咲き乱れて、あたり一面がカラフルになる。
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