絶望感
ぜつぼうかん
名詞
標準
文例 · 用例
飯盛|颪に吹き流される雲が、枯草が、蕭条として彼等の網膜に写し出され、捉える事の出来ない絶望感が全身的に灼きついて来たのであろう。
— 菊池寛 『四条畷の戦』 青空文庫
云い知れぬ絶望感のために危うく自制力を失いかけていた。
— 夢野久作 『冥土行進曲』 青空文庫
寞寂極まりもない奈落の淵に声ひとつたてることなしにラムプを点して、涯しもない絶望感に游泳する姿だけが、所詮はわたしの与へられた宿命に相違ないと、病体を養ひながら考へるのであるが、ひとたび家族のことに思ひを駆られはじめると、一体自分は何のために何を堪えようとしてゐるのかと疑はしくなるのであつた。
— 牧野信一 『痩身記』 青空文庫
さうなつては、つづけてゐるのに苦痛だけが残つて、大袈裟な絶望感さへ伴つて来る。
— 武田麟太郎 『大凶の籤』 青空文庫
然し、龍吉は今では自分でもさうと分る程、かういふ處にたゝき込まれた時のオキマリの感傷的な絶望感から逃れ得てゐた。
— 小林多喜二 『一九二八年三月十五日』 青空文庫
だが、小太郎は、その言葉を、半分聞いた時に、全身を、冷たく襲って来る絶望感があった。
— 直木三十五 『南国太平記』 青空文庫
名状しがたい絶望感が、風のように彼の全身を通り過ぎた。
— 平林初之輔 『犠牲者』 青空文庫
それを見るといよいよ爺は、目先のくらくら暗むような絶望感に打ちのめされた。
— 金史良 『土城廊』 青空文庫