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隣部屋

となりべや
名詞
1
標準
文例 · 用例
父の萬年筆をほしがつてゐながらそれを言ひ出せないで、ひとり色々と思ひ惱んだ末、或る晩に床の中で眼をつぶつたまま寢言のふりして、まんねんひつ、まんねんひつ、と隣部屋で客と對談中の父へ低く呼びかけた事があつたけれど、勿論それは父の耳にも心にもはひらなかつたらしい。
太宰治 思ひ出 青空文庫
父の万年筆をほしがつてゐながらそれを言ひ出せないで、ひとり色々と思ひ悩んだ末、或る晩に床の中で眼をつぶつたまま寝言のふりして、まんねんひつ、まんねんひつ、と隣部屋で客と対談中の父へ低く呼びかけた事があつたけれど、勿論それは父の耳にも心にもはひらなかつたらしい。
太宰治 津軽 青空文庫
なんだか馬鹿らしくて、おかしい事だけれど、先日、主人のお友だちの伊馬さんが久し振りで遊びにいらっしゃって、その時、主人と客間で話合っているのを隣部屋で聞いて噴き出した。
太宰治 十二月八日 青空文庫
隣部屋で縫物をしていた妻が、あとで出て来て、私の応対の仕方の拙劣を笑い、商人には、うんと金のある振りを見せなければ、すぐ、あんなにばかにするものだ、四円が痛かったなど、下品なことは、これから、おっしゃらないように、と言った。
太宰治 市井喧争 青空文庫
それから立ち上って隣部屋へ行き、地袋から手箱を取り出して来た。
国枝史郎 大捕物仙人壺 青空文庫
それは一匹の大|鼬であって、颯と床間へ駈け上ると、壺と地図とを両手で抱え、それから後足で立ち上り、静かに隣部屋へ引返した。
国枝史郎 大捕物仙人壺 青空文庫
雪之丞とて、師匠の隣部屋に、宿る程の分際ではなかったが、弟とも、子とも言う、別種な関係があり、殊更、今度の江戸上りは、彼にとって、重大な意義があるのを、知り抜いている菊之丞故、わざと、身近く引き寄せて、置くわけだった。
三上於菟吉 雪之丞変化 青空文庫
隣部屋に寝ている民弥めに、眼を覚まされては大変だ」こんなことも呟いている。
国枝史郎 南蛮秘話森右近丸 青空文庫